2015年01月11日

踏んでもスキーはたわまない

中央道の上り線で高尾の山を抜けると右手に共立女子大が見えてきますよね。スキーの帰りにあれを見るといつも、

「ああ、八王子に帰ってきてしまったなあ……」

ってものすごく気分が落ち込むんです。八王子在住のスキーヤーはみんなそう思っていると思います。なので共立女子大は早くあそこから移転して下さい

毎度。俺です。

「スキーをたわませるにはどうすればいいですか?」
もっと踏んで下さい

こんなやりとり、ネットでもレッスンでもよく見ますよね。

私は性根がたいへんに素直で純粋ですので、これを見て「そうか! スキーをたわませるには、踏めばいいんだ! スキーのたわみが足りないのは僕の踏みが甘いせいだ!」と信じていたのですが、正月休み明けのある晩、夜空に浮かんだ満月を見上げたらお月様が

お前は本当にそう思うのかい?

と私の心に直接語りかけてきた気がしたのでいい病院があったら紹介してください。

えーと、きっかけはともかくとして、スキーをより大きくたわませるためにはより強く踏めばよいというのは本当か。この疑念について少し考えてみました。

結論から言うと、タイトルにも書いたとおりスキー板をいくら踏みつけても、より大きくたわむなどということはないのではないかと思いました。

最新CG技術を駆使した図で説明します。

たわみ小

ピンボケですみません。おわかりいただけますでしょうか。ターン中のスキー板を正面から見た図です。板のたわみの量が小さいのでメーカーロゴは少し横につぶれて見えます。

図の通り、サイドカーブのえぐれ量と板の傾きが決まれば、板がたわむ量は勝手に決まってしまうようです。

同じ板がもっと深くたわんでいるケースも見てみましょう。

たわみ大

サイドカーブのえぐれ量(数学的に言うと円弧に対する矢高)は板ごとに不変ですから、「たわみ量は板の傾き(だけ)に相関する」ということがわかります。

板の傾きが一定なら、この相関から導かれるたわみ量よりもたわみが深かったり浅かったりということはありえないように思えます。

だって、傾きが一定のままより深くたわませようと思ったら、ブーツ付近を雪の中にもぐらせるか、トップとテールを宙に浮かせるしか方法がありませんし、逆にたわみが浅いのならブーツ付近が宙に浮いているかトップとテールが雪の中にもぐっているということになります。

つまり、板のたわみ量はサイドカーブとその時の板の傾きによって導かれ、いくら板を踏んでもそれ以上にたわませることはできないのではないか、ということです。

ということは、板を余計にたわませたかったら余計に傾け、と言うほうがアドバイスとしては適切なのではないでしょうか。

あ、板にはトーションがあるやろとか、トップとテールはちょっと雪にもぐるやろとか、そういうツッコミは今回とりあえずガマンしてください。どっちにしてもたわませるには傾きが必要という結論を覆せる要素ではありません。

より深くたわませることでより小さいターン弧を得たいのならばただ傾くだけではもちろんダメで、きちんとキレに乗っている必要があります。ズレていたって同じたわみは出ますから。

さらに、選手用の板はフレックスが極端に強いのでキレに乗って傾くだけでは望むたわみが得られないかもしれません。その時は上で書いたように本当にブーツ下が雪から浮いてしまい、曲がらずあわてるかグリップを失って転ぶということになります。

傾きに対応したたわみを得るのに十分な体重と遠心力を板に伝えるためには、理想的な谷回りでキレに乗って行く足場を作る必要がありますし、外足に100%荷重してその重みを一枚の板に集中してやる必要があります。

それもこれも含めての「もっと踏め」なのだろうとは思いますが、だとすると言葉が足りなすぎますよね。

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posted by Gyochan at 03:30 | Comment(9) | TrackBack(0) | スキー
この記事へのコメント
やられました^_^

板はフィッシャーではなく、ミツウロコだったのですね(笑)
Posted by MOTO at 2015年01月11日 09:45
Re:やられました^_^

>MOTOさん
おひさしぶりです、コメントありがとうございます!
小ネタを拾っていただきありがとうございます〜
いつかこれやりたかったんです(笑)
Posted by gyochan at 2015年01月11日 11:51
踏むって便利で曖昧

曲げて押した気分になる(本当は太ももがつらいだけで力は伝わっていない)のとは別な動作を表現したかったのでしょうね。
例えば、アルミの空き缶を踏みつぶす時って、曲げるのではなくて上から足を振り下ろすか、伸ばしたままジャンプしたりしますよね。そんな感じでスキーに力を加えろってことなんだろうと思っています。
しかし、この言葉曖昧で、全然動作を表現してないと思うんですよねぇ。だってそんな空き缶を踏むたとえ話なんてしないで、動作説明した方が早いんですから。綱引きで踏ん張るときだって足伸ばしますよね。トランポリンで跳ぶときだって軸を作ってとびますよね。

さらに害悪なのは、わかったようでいてわかっていない自称上級者が自分より下手な人に「踏めてない」とか言うことですね。わかってない人が、もっとわかってない人に、わからないまま説明するなんて悪循環の極みです。

私は人にスキーを教えるときに「踏む」という言葉は使わないようにしています。
Posted by かいぞー at 2015年01月13日 23:16
Re:踏むって便利で曖昧

>かいぞーさん
「踏む」とか「動く(動かす)」といったいわゆる「スキー語」は、複雑な概念を伝達するのに便利な簡略語と言えますが、その「複雑な概念」の定義について話す方と聞く方の両者で共通認識がとれてないと意味がないですね。

以前スキースクールで中年イントラが小学低学年の少年に「面に圧をかけて……」と指示していてあきれたことがあります。

一方で、内足外足、インエッジアウトエッジ、トップ・テール、外向傾など「お互いわかってるといろいろ話が早い専門用語」があるのも事実なんですが、初心者ほど照れくさがって教えても使いたがらないですね。
Posted by gyochan at 2015年01月14日 12:41
もう次のレベルに進んでいるんですよ

>>、板を余計にたわませたかったら余計に傾け、と言うほうがアドバイスとしては適切なのではないでしょうか。

その通りなのですが、実はこれを理解するのが結構難しいのだろうなと。
これを理解するためには、インエッジを雪面に噛ませる方法をわかっていて、かつ、カービング感覚もしくはずらしても細いずれでコントロールできていないとなりません。それってもう結構な上級者ですよね。
ぎょーさんがそういう風に感じるのは、もう次のレベルに進んでるからなのでしょう。

まぁ、私がスキー教えるときは、最初からこの理屈で教えちゃいますけどね。だって上からいくら押したってスキーたわまないですから。小さく角を立て、スキーが勝手に回り始めるのを感じてそこからって感じです。
うちの娘と奥さんはそんな感じで教えています。
Posted by かいぞー at 2015年01月19日 20:17
Re:もう次のレベルに進んでいるんですよ

>かいぞーさん
毎度です。
カービング状態を維持したまま角付けを強めるとたわみ量の増加によって旋回半径が縮まる、という現象を私も最近ようやく体験することができましたが、まだまだ偶然の範疇を出ませんし、ましてやセットの中で適宜それをリアルタイムに選んでいく、などいう芸当はまだ当分先のことだと思います(笑)。

ただ、かねてより謎だった「遠心力が先か内傾角が先か?」というニワトリと卵問題については自分なりに一定の結論に達しました。内傾角が先ですね。内傾角を作ったことによって増加するであろう遠心力と釣り合う位置に我が身を置く、という順序なのかなと思いました。
Posted by gyochan at 2015年01月19日 22:52
無題

「遠心力が先か内傾角が先か?」はおっしゃるとおり「内傾角」が先ですね。バランスが崩れなければスキーは直進します。角をつけることでバランスが崩れてターンが始まります。

ポイントは、内傾角といっても、スキー雑誌の写真にある傾ききった派手なアレではなく、最初は外見からはわからないぐらい小さい角付けからゆっくりとだんだんたくさん傾いていくと言うことです。

パタンとやって固まる、パタンとやって固まる、ではなく、ぐぁーっとゆっくり傾け、ぐぁーっとゆっくり戻すのがコツですね。

SLでも動きはゆっくりです。
速く動くための動作は自分からはしません。スキーの反発をつかめたら結果的に速く動けます。
Posted by かいぞー at 2015年01月20日 10:40
Re:無題

>かいぞーさん
私は心の中で「遠心力をつかまえる」と呼んでいるんですけど、空中のどこかにある正しい身の置きどころに身を置き続けるためには、きっとかいぞーさんのおっしゃるような連続した動きになるんですよね。スキーが滑らかなターンをする限り、重心も滑らかな曲線を描いて移動するはずなので。

つまり「動き続けるのがコツ」なのではなく、「動き続けないと理想的な重心位置の軌跡をトレースできない」ということなのかなと。

ポールセットの中での動き方も、スキー板の軌跡から(イマジナリーな)重心の軌跡を導き出して体の通り方を決定してやる必要があるのだなと。
Posted by gyochan at 2015年01月20日 15:40
Re:Re:無題

>gyochanさん

だいぶ筋がよさそうな感触ですね。
TTCの合間のフリーで感覚あわせをしましょう。
Posted by かいぞー at 2015年01月21日 00:14
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