2014年08月21日

基礎スキーについてあとちょっとだけ考えてみた

毎度。俺です。

意図せずして一大連載アクション巨編になってしまったこの「基礎スキーについて考えてみたシリーズ」ですが(コメディという噂も)、今回でどうにか最終回です。こいつが居座っているおかげでほかに書きたい記事がまったく書けなかったりアクセス数が落ちたり1kg太ったり婚期を逃したりと色々迷惑しています。ほんとにどうにかしていただきたい。特に婚期。

さて、前回は「SAJはさー、基礎スキーだけ教えてても別にいいんだけど、もうちょっとちゃんとしてほしいな」的なことまで書きました(←雑)。

ではSAJは何をどうちゃんとすればよいのでしょう。私個人がこうだといいのになーと思うことを書きます。

まず教程

自然で楽なスキーのすすめ』の後継となる新教程はまだ発表になっていませんが、技術体系的には去年の改革通り外足主体のバインシュピールな内容になることは確実でしょう。それはまあ置いといて、私としては書物としてまともなものになることを期待しています。

検定オタクが買ってわかったフリをする本からは卒業すべきです。SIAの公式メソッドがスキーヤーなら誰が読んでもためになる手引書に正常進化したように、SAJの教程も指導要領としても虎の巻としても読み物としても価値のあるスキーヤー必携の一冊になったらどんなに素晴らしいでしょう。今そんな本があるでしょうか。

次に、検定

2級、1級と進むに従って基礎スキーに深ハマリしていって、どんどんほかへの応用が利かなくなっていく、という図式はたいへん非生産的だと思います。私が検定に期待したいのは「深さ」ではなく、むしろ級が上がれば上がるほどできることが増えていく、という「広がり」のほう。チャレンジする人のスキーヤーとしての可能性が、せばまってしまうのではなく広がっていくような検定が理想的ですよね。

話は戻りますが、検定の採点基準と教程は不即不離でしょうから、教程の指導体系もそのようなスキーヤーの成長にあわせて選択肢が広がっていくような書かれ方をしていてほしいものです。

それと、話は違いますがSAJジュニアテスト

この一連の記事を書くために色々調べてみるまで全然知らなかったんですが、しばらく前までジュニアテストは制限滑走によるタイム審査だったらしいではないですか。それが最近になってふつうの級別テストと同じような基礎系種目に変わったと。

これはもとに戻すべきだと思います。基礎がやりたければ級別テストを受ければよいのです。級別テストだって5〜3級は小学生でも受検できるのですから。なぜわざわざレーサーへの道を閉ざすようなことをしたのでしょう。可能性はせばめるのではなく広げるべきです。

最後に、スキー振興への取り組み

スクールは学校を開いて生徒を待っていることしかできず、お客さんをスキー場まで連れてくる機能は備えていません。なので、宿、スキー場、旅行会社、メーカーなど業界が一丸となってスノーアクティビティを盛り上げていくことがまず大前提としてあります。

ですがその上で、スキー学校にもスキー場に遊びに来たお客さんに提案できることってたくさんあるんじゃないでしょうか。ひとつのスキー場にたいていひとつしかないスキー学校で基礎スキーしか教えてもらえないのは貧しいことです。

たとえば一般コースや検定コースのほかに、フリースタイルやポールレッスンやテレマークといった特化型の企画レッスンを打つとか。常設はムリとしても月イチとかシーズン2回くらいならできるでしょう。教えられる人さえいれば。

こういうことは個々のスキー学校の営業努力の範疇なのかもしれませんが、SAJが公認スキー学校の自由な取り組みをどこかで制限しているようなフシがあればそれは糾弾されるべきです。むしろ奨励し支援すべきでしょう。

だいたい、どこのスキー学校のホームページを見てもやる気が感じられない。まあ修学旅行生さえ受け入れていればそれで1シーズン安泰なのかもしれませんが、スノーアクティビティの新しい楽しさを創りたいとか伝えたいといった気概がまったくこちらに伝わってきません。ワクワクできる気がしない

雪マジ19とかぜんぶ雪のせいだとか、業界は少ないリソースでスキー場にお客を呼び戻そうとみんな懸命に知恵を絞っています。スキー学校だけが旧態依然としたビジネスモデルにあぐらをかいてお客さんに新しい価値を何も提供できていないのはお寒い状況です。寒いのはリフトの上だけでけっこう

読み返してみてもまるでありきたりでありふれた提言しかできていないのが我ながら悲しいですが、逆に言えば私のようなハイブリッド2級の新参スキーヤーでもこの程度の提言はできてしまうというところがさらに悲しいのです。

とりあえず疲れたのでこのシリーズはこのへんで。

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posted by Gyochan at 22:00 | Comment(9) | TrackBack(0) | スキー
この記事へのコメント
おつかれさまでした。

力のはいったレポートに感服しました。

なぜスキーヤーは、なかなか上手くならないのを自分の運動センスではなく、すぐ教程のせい、スクールのせいにするのか?
疑問でしたが、gyochanさんのblogを読んでみて、きっと他のスポーツに比べてスキースクール(SAJ)への依存度が高いんだと感じました。

サーフィンにも検定やスクールもありますが、スキーのような議論にはなりませんから。
Posted by yasu at 2014年08月22日 20:45
Re:おつかれさまでした。

yasuさん!! 拙文に最後までおつきあいただきありがとうございました! がんばりました!(泣)

yasuさんの挙げておられる疑問点ですが、スキーというスポーツの特殊さもあるように感じています。
ほかのスポーツと比べて、上達の要素として「当人のセンス・能力・努力」よりも「教え方の良し悪し」の比率がずっと高い気がしませんか? 9の努力よりも、教わらないと気づかない1のコツ、みたいなところがスキーにはあるように思えます。
Posted by gyochan at 2014年08月23日 23:49
素晴らしい提言です。

ぎょうちゃん、まいど。

2級スキーヤーにもできる提言じゃなくて、
ぎょうちゃんだからできた提言じゃないかな。
素晴らしいところに気づいたと思います。

かと言って、組織をすぐかえるのは困難ですが。SIAとSAJが云々言い出すと宗教論になっちゃうし、それぞれの上の方同士は実は仲良しだったりするので、自浄作用にきたいしましょ。

自分でもできることは、自分のスキーを変えることではないでしょうか?

検定を目標とするから協定が絶対のように感じてしまう。

私が2級になったころは、整地の上をかろうじてバランスを保つのがやっとでした。

1級になるまでに様々な不整地に入り、ポジションは様々なところにあることを覚えました。

1級を超えた今、SL板でウィスラーの頂上から滑り降りられるようになった。

リテラリシーというのかな?

仕事上でも教程でも、これは違うかもしれない?と考えながら進むこと。

違うと思っても拒絶しないで、一段上の実力をつけてやって見せる事。そして認められた後は自分で考えて好きにしたらいいんじゃないかな?

検定しか考えていないから、採点基準(協定)に腹が立つ。

検定に合格したら、スキー人生終わりじゃないでしょう。その技術でいろいろな幅広いスキーにチャレンジするのは、スキーヤー自身であってほしいと思うな。
Posted by どく。 at 2014年08月25日 09:17
Re:素晴らしい提言です。

>どく。さん
現状はたしかにおっしゃる通りなんだけど、それじゃ検定がマイルストーンとして機能してないよね。
1級を取るにはそれなりに滑りこまなきゃいけないわけで、その過程でうまくなるのはたぶん当然なんだけど、それは教程が良いからそうなったというわけではないと思う。副産物のように感じる。
検定だけを目標にがんばってさえいればスキーヤーとしてもちゃんと一人前になるシステムっていうのが最終的には理想なんじゃないのかなあ。求めすぎ?
Posted by gyochan at 2014年08月25日 12:17
なるほど。。。。

マイルストーンね。

確かにそう考えれば、そこまでの役割は果たしていないように見えますね。

今の検定は、英語で言えば英検かな。
もっと実用的なTEICや TOEFLみたいな存在であった方がいいよね。

受検者の立場でしか検定を考えた事がないから、今後、SAJの検定に対するスタンスを勉強してから考えたいと思います。

検定に期待して当然ですものね。
Posted by どく。 at 2014年08月25日 14:11
ちなみに、

スキーの上達が、指導に依存する割合が高い理由を妻がこう分析していました。

ダンスは必ず鏡の前で、自分の動きを確認しながら練習する。スキーはそれができない。

ビデオを撮っても、リアルタイムの確認ではないので、その場で直ちに修正できない。

なので、自分の出来不出来を自分で想像して進むことが多く、自己の型に陥りやすい。

よって客観的な指導が必要であり、依存度も高い。

と申しておりました。
Posted by どく。 at 2014年08月25日 14:17
Re:ちなみに、

>どく。さん
それは奥様、達観!だと思います。
私もフォームの矯正には動画が何よりも重要だとこの1、2シーズンで思い知り、スキー場にカメラを頻々と持ち込むようになりましたが、やはりもどかしいですね。うまい人との差を見るのも、過去の自分との差を見るのも、その場というわけにはいかない。

ゲレンデの一番下に、ゲレンデを狙うカメラと、「そのカメラが映した2分前の映像」を流し続けるモニタがあったらウケると思うな! 滑り終わったらすぐ自分の滑りが見られるわけ。それを見てからまたリフトに乗るっていう。

絶対カメラの前に立つ客がいると思うけどね。
Posted by gyochan at 2014年08月25日 14:46
フォームの矯正

スキーのフォームつうのは 滑りに対して 必然的に そうなるんだと思う。 奴踊りは別として・・   滑り方の矯正かな? 筋力 体格 好み 道具で 個々のフォームになるんだと思うなぁ。
Posted by 前転 at 2014年09月13日 00:09
Re:フォームの矯正

>前転さん
なるほど! おっしゃる通り、もっとも効率的な滑り方は十人十色な身体的条件にあわせて千差万別になりますね!

そういう意味では、基礎スキーが滑り方を「たったひとつの型」にはめようとするのは合理性を欠いているのかもしれません。

一方で、競技スキーの場合は「速い滑り方」という「型」がありきで、スキーヤーはその型に自分のほうを合わせるために訓練を重ねるのだ、ととらえることができますね。
Posted by gyochan at 2014年09月13日 19:47
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