前編ではコンポ換装とオーバーホールに至った経緯、中編ではマングローブ・バイクスによる素晴らしいオーバーホールの効果について述べました。
68アルテとオーバーホール《前編》
68アルテとオーバーホール《中編》
最後に68アルテの使用感について述べて、とりあえず2013年マシン改造計画のまとめとしたいと思います。
コンポ換装のテーマはいくつかありました。
まずひとつめはコンポの近代化による操作の質感の向上です。それまでは5500系をメインに6500系を足した3世代前の混成イチマグラでしたので向上するのは当たり前なのですが、それでも大成功と言える変化でした。
6800のSTIレバーはブラケットは小さくレバーは大きくて扱いやすく引きがとても軽い。ブレーキキャリパーは変えていないのですが(TRP-970SL)、制動性能は大きく向上しました。レバーが握りやすくなるだけでブレーキの性能はハネあがるということですね。ライダーの握力を摩擦力に変換するのがブレーキ系ですから、その変換効率が向上すれば制動力が上がるというのは当然と言えば当然です。
ブレーキの引きやすさはシマノの新しいポリマーコーティングケーブルの恩恵もきっとあるでしょう。本来は6800系か9000系にしか使ってはいけないとされているケーブルなのですが(あまりに摩擦係数が低いので従来のキャリパーだと滑って抜けるおそれがある)、マングの大将が入念に検証した結果「このキャリパーなら使って問題なし」と判断、TRPブレーキと組み合わせて使うことになりました。大枚はたいて買ったTRPの本来の性能をようやく手に入れた感じです。よく利きます。
そして変速性能。これも笑っちゃうくらい世界が変わりました。リアもフロントも、シフトアップもシフトダウンも引きしろがずっと浅くて(この性能改善はもっと昔に起こっていた出来事なのかもしれませんが)すごくラクチン! 9速から11速に変わったのでスプロケット間隔が狭小化したこともきっとシフトストロークに関連しているのでしょう。スパスパ変わる、と表現されているのをよく見ますが、そのとおり。
Fチェーンリングは今回コンパクトクランクにしたのですが、歯数差もなんのその、あれっと言う間に音もなく切り替わっています。故意に極端なたすきがけにすると渋くなりますしチェーン鳴りも出ますが、それは使い方の問題。トリム操作もありますし、常用域ならまるで問題なし。快適そのものです。
また、今回BBだけは9000系デュラエースのものを驕りました。もし一点贅沢をするならここだろうと。6800系との差額が小さいから(笑)っていうのもありますが、BBに良いモノを使う意味はかなり大きい気がしたので。あと、デュラエースを使ってることが外見上わからない(=分不相応なモノを装着していることがバレない)というのもポイントです(笑)。
クランクの剛性UPとBB性能、どこからどこまでがどちらの恩恵かはわかりませんが、ともかく足元のしっかり感はかなり向上したように感じます。加速にしろ登坂にしろ前よりもすっすっと前に出る感じ。感じ感じと書いてるのは、確証が持てるほどの変化をまだ感じられていないのと、変化を感じるほどのゴン踏みをしてないから、まだ。
そして、走りにどれくらい影響するかわかりませんが、体感で200gからそれ以上は車両重量が軽くなっています。これはもう、玄関から自転車を出すときに毎回感じます。持ち上げるとふわり。「軽い!」 以前よりスプロケットが2枚も増えているので重くなっていてもちっとも不思議はないのですが(笑)。
ここまでは純粋に製品としての68アルテの感想ですが、ふたつめのテーマ、ギアレシオの見直しについても書きたいと思います。これは厳密には68アルテの使い心地とは言えませんね。
これまでフロント53x42T、リア12x27Tという、高ギア寄りのワイドレシオという構成で走っていましたが、「登坂時の低ギアが足りない」「平地巡航時のギア間隔が広い」というふたつの悩みがあり、これを解決すべくフロント50x34T、リア12x25Tのコンパクトクランク+クロスレシオ構成に変えてみました。スプロケットは実に12〜19Tまで1T刻みのクロス。
これも成功でした。奥多摩の都民の森まで足を着かずに登れましたから低ギア側のレシオは問題なし(その程度の判断基準か!)。そして、1T刻みは平地巡航が楽しい! 楽しすぎる!
私が平地巡航するときに多用する速度30km/h、ケイデンス80rpmくらいですと、ちょうどリアが15T〜19Tくらいの1T刻みゾーンにうまくハマり、わずかな勾配変化や風向きの変化にも実に細かく対応することができます。2T刻みの並びですと「軽すぎんだよな〜」「重すぎんだよな〜」という不満がどうしても出てきていたんですが、それがすっかりきれいに解消しましたね。ビバ、クロスレシオ!
その時自分にとっていちばん気持ちいいギアを踏める悦び! 趣味で乗ってる自転車なのですから、愉悦を最大化することには大きな意味がありますよね。
デメリットとしては、勾配変化が連続する時などのシフトが煩雑なこと。私のホームコース・南多摩尾根幹線道路は交差点のたびにアップダウンが連続するのですが、その都度たくさんシフトチェンジしなければいけません。これはもうクロスレシオの利便性と表裏一体なのでしょうがないですね。
結論、このコンポ換装とオーバーホールはやってよかった。たいへん満足。ほぼ時を同じくしてタイヤも新品に交換しているので、全面的にリフレッシュした感がある。平均速度などの数字には全然表れていないけれど、走る愉悦は確実に増している。
いいの。楽しければ。
先日のロングライドでコンパクトクランクに食指が動き始めました。
いいですよね。
うん。
アウターとインナーの表現の幅が広がればさぞ楽しそうですね。
僕も体重落ちたら11速狙おうかしら(^∇^)
>ぷるるん男爵さん
毎度毎度!
私が全幅の信頼を寄せるショップの大将のイチオシは(6800の場合ですが)、F 52x36 に R 11x28 の組み合わせ。何にでも対応できるそうです。
この大将の言うことは何でも無条件で従う私なのですが、今回は考えぬいた末のギア比だったので我を通しましたけど(笑)。
本文に書いたとおり大満足なのですが、トップ50x12だとぷる男さんは下りで踏み切っちゃうかもしれんですよ。私もちと軽いかなと思う時があります。