CAAD10がほしくなったものの、これを買う合理的な理由が見つからないので、試乗車に乗ってみることにしました。
はい。えー、ツッコミたい気持ちはわかります。
ふつうは、買いたい理由が先にあって、それを確認するために試乗するもんです。「買う理由はないが、乗れば理由が見つかるかも」などという言語道断な動機で試乗に臨む人は少なかろうと思います。「地雷が落ちてないか、ちょっと歩いてみる」と言っているようなものです。いや、違うか。
いーんですッ!
ほっといてほしいッ!
自分の自転車(2006年式CAAD7)がどんだけ時代遅れになっているか確認するだけでも意味があるってもんですから!
CAAD10の試乗車を用意してそうなお店は近所にもいくつかありますが、あまりお世話になりたいと思える感じのお店ではないのでやめておき、Cannondale公式サイトのディーラー検索から自走で行けそうなお店を探して、電話で試乗車の有無を確認。Grove宮前平という新しめのお店に試乗車があることがわかりました。片道20kmくらいなんでサイクリングがてら。
Grove宮前平。今どきのスポーツ自転車店、広さはコンビニくらい。
Grove宮前平はこざっぱりとキレイな明るいお店で、まさに今どきのスポーツバイク専門店という感じ。店員さんたちも若くてにこやか。初心者でも入りやすいお店なのではないでしょうか。雑然とした店内でとっつきにくそうなこだわりオヤジが黙って作業してる、という従来のスポーツバイク店の雰囲気ではありません。もうそういうお店も(相対的に)少なくなってしまいましたね。
さて試乗車。CAAD10の試乗車は2013モデルの6700アルテグラ仕様でした。CAAD10 3っていうやつですね。意図せずして先代アルテグラの試走もできてしまうことになったようです。ホイールはMAVICアクシウム、タイヤは吊るしのままならばおそらくMAVICのアクシオンでしょう。
私はシューズがSPD-SLなのでそれに合わせてアルテグラのぺダルをつけてもらい、「試走コースは特に決まってないんで、好きなだけ乗ってきていいですよ」のお言葉に甘えて、好きなだけ乗らせてもらいました。コースはお店のある尻手黒川道路・宮崎台駅・宮前平駅を結ぶ三角形、勾配8%300mの坂道を含む1周2.2kmのコースを2周しました。
試乗車は 2013 CAAD10 3
パキンパキンとビンディングペダルをはめるところから驚きです。「おお、アルテグラペダルというのはこんなにパキンパキン言うのか」もうド素人ですわね。
よいしょと踏んでみると、ふわあ、進む! 澄んだ加速! そしてなんだこの足元のしっかり感。なんかね、クランク周りがしっかりしてるんですよ。あのね、ペダルとリアホイールが直接つながってるみたいな感じ。私のCAAD7マシンに比べて、逃げてる力がずっと少ない感じがします。CAAD7に乗ってる限りでは力が逃げてるなんて感じたことはなかったんですが、こうして別のマシンに乗ってみるとわかるもんですねえ。
まあ、私のCAAD7の駆動系は何から何まで古いですから。クランクは5500系105、BBはオクタリンク、つまりクランク周りは1.5〜2世代前のものです。試乗車のBB30+FSAカーボンクランクに比べればフニャフニャだった、ということなんですね、きっと。いやあ、これは勉強になった。
そして、コンパクトクランク初体験。今まで53-39T、53-42Tとノーマルクランク路線を走ってきた私にとって、インナーの軽さはカルチャーショックでした。試乗コースの脇にドーナツ舗装の急坂(15%くらい?)を見つけたのでインナーローで登ってみましたが、歩くようなラクさですね。
アウターからインナーに落とした時の落差の大きさにはちょっとひるみましたが、フロントはそう頻繁にシフトチェンジするものではないですしね。
6700アルテグラのシフター、これもいいですね。私の5500系105のSTIレバーと比べて、リア側シフトダウンはストロークが半分くらいで「これはいい」と感じました。シフトアップのフィーリングはそう大きくは違わない感じ。フロント側も、コンパクトクランクで歯数差があるのに苦もなくチェーンが乗り換わります。わざとたすきがけなシフトもしてみましたが、平然とチェンジします。うーむ、スゴイ。
あと、CAAD10+6700アルテグラのブレーキは半端なく利きますね。私のTRPが全然効かない類なのかもしれませんが、「ああ、よく利くブレーキとはこういうものか!」という驚きがありました。6800では利きの良さはそのままにさらにコントロール性が向上しているというのですからさらに驚きです。
コース上には勾配-10%ほどのダウンヒルもあり、途中には右コーナーもあるのでちょっと突っ込んでみたところ、フロントがふらつきました。「おっと」という感じ。これはフォーク&ヘッドのせいなのか、それともタイヤのせいなのか。
そして、肝心の乗り心地。
これも、なかなかよいです。たしかに、CAAD7とははっきりと違います。ただ、「ひゃーっ! こんなに違うわけ!?」とびっくりするほどの差ではないですね。「うん。たしかに違う」というくらい。
わざと小さな段差やマンホールを通過して確かめてみましたが、CAAD7ならガタンガタンとなるところがCAAD10はゴトンゴトンという感じ。微妙だけど(笑)。荒れた舗装が長く続くような場所では、こういう小さな差がじわじわ効いてくるのだろうなと思います。もっとも、乗り心地の向上というより、路面追従性の向上のほうが恩恵がでかい気がします。要は、ハネない。グリップを(=トルクを)維持してくれる。クルマとの対比で言うと、いいサスつけてる感じ。
店の前の大通り(尻手黒川道路)はわずかに下り基調のどストレート。しかもこの日は追い風。気持よく飛ばしてみました。でも、ああ、サイコンがついてないので何キロまで出たかわからない……。6700アルテのSTIは下ハンブレーキが引きやすいですね。
なるほどね。
しっかり試乗を堪能して店に戻ると「長かったですね(笑)」と言われました。好きなだけ乗っていいって言ったじゃんか。試乗が楽しかったことを告げると店員さんたちも喜んでくれたので、いいお店だと思います。
そのあと店員さんから色々お話をうかがいます。年末くらいまでは品切れを心配する必要はないだろうとのことでしたので、「急いで買わなきゃなくなっちゃう!」みたいなことにはならないようです。
店を辞したのち、自分のマシンでもう一度試走コースを走ってみました。う〜ん、ややもっさりかなあ。シッティングでトルクをかけた時やダンシングでは、やはりクランク周りのしっかり感に物足りなさがあります。加速はCAAD10のほうが上ですね。
左:CAAD10、右:CAAD7。
写真を並べるとよくわかる、アワーグラス(砂時計)シートステーはやはりカッコイイ
坂の登りやすさみたいなものは、その坂を登るのにぴったりしたギア比があるかないかでずいぶん印象も違うんじゃないかとは思いますが、やはりCAAD10のほうが上ですね。まあ私のマシンはサドルに重たいサドルバッグをつけていますので、ダンシングで振ったときの印象は比較できませんけれども。
ダウンヒル、コーナリングはどうも私のCAAD7のほうが安定しているようなのですが、これはう〜ん、タイヤの差なのかなあ。フロントホイールは自分ので走ればよかったかな。
総じて言うと、今のCAAD7よりCAAD10+アルテグラのほうが総合力はかなり高い、という結論が出ました(当然ですが)。しかし、これ今すぐ買い換えるべきでしょ、いつ買うの今でしょ的な強い訴求力は感じるに至りませんでした。
うん、たしかにいい自転車。ほしいなあ。くらい。
ああ。せっかく試乗までしたのに試乗する前と心理状態がまったく変わっていない。
と、モヤモヤした気持ちで帰途に就きました。その道中で、私はあることに気づきます。楽しく試乗している最中、知らぬ間に私の身に起きていたある不幸に……。
(続きます)
CAAD7 はアメリカ製じゃなかったですかね?
にしても、最近の台湾製は逆にブランド化してるので物がいいんでしょうね。
しかし6700って事は去年のモデルですかね?
>ぷるるん男爵さん
毎度です!
製造は9まで米、10から台ですね。
私の7にもはっきり "HANDMADE IN USA" と書いてありますですよ。
台湾品質についてはまったく心配してません。むしろ信頼しているくらいです。もっとも、自転車趣味やってて台湾製品を避けることすらもはや現実に不可能ですが!