スキー指南の記事を見ていると、よく
「低速でできないことは高速でもできない」
という文句に出会います。
速いスピードで行う技術でも、プルークなどでしっかり運動要素をひとつひとつ理解するところから始めよう、といったようなシチュエーションで使われる文句。スキースクールでインストラクターから言われた人もいるでしょう。
今日、スタジオで初心者のメンバーに演奏を指導しながら私はこの言葉を思い出していました。
一般に楽器を練習するときは、ゆっくりから始めてだんだん演奏スピードを速くしていきます。もう鉄則と言ってもいいくらいこうします。指使いが追いつかないようなフレーズや複雑なリズムのフレーズを弾く場合に特に効果的です。
「低速でできないことは高速でもできない」、その通りです。楽器に関しては。
ただ、スキーに関しては、う〜ん、どうなのかなあって思います。
高速でしかできない、低速では無理な技術もありますよねえ、普通に。大きな運動エネルギーとか大きな慣性モーメントを得て初めて可能になることってたくさんあるでしょ。ごく単純な例だと、内傾することとか。
逆もありますねよ。低速ではできるけど高速では無理、っていう技術。スケーティングなんかそうでしょう。やってみればわかりますが高速滑走中に無理やりスケーティングしようとすると逆エッジで転びます。
つまり正確には「低速でできないことでも高速でできないとは限らないし逆もまたしかり」であるにもかかわらず、なぜスキーの世界では「低速でできないことは高速でもできない」などという文句がまかり通っているのでしょうね。
低速に戻って練習することが重要なことももちろん理解しておりますが、「低速でできないことは高速でもできない」は、ウソとは申しませんがさすがにちと牽強付会気味なんじゃないのと。
プルークに戻って練習することをいやがるスクール生を納得させるための方便として作り出された言葉なのかもしれんなあ。
初めまして、SAJ教程ネタで検索していて、こちらに辿り着きました。
低速でできない事は…に関して、まさに同意させていただきます。あとは、「基本はプルーク」というのも怪しいかと。パラレルスタンスでないと出来ない事というのもありますから。
ただ、
緩斜面でできない事は、急斜面でもできない(難しい) と
練習でできない事は、本番でもできない
は、かなり真実に近いかと思っています。
勿論、出来ちゃうこともありますけど。
>KNJさん
コメントありがとうございます!
「スキーについての覚書」、いつも勉強させていただいております、読者です。ちょっと私にはレベルが高すぎる記事も多いのですが……。
過去の記事にまで目を通していただきありがとうございます。
「緩斜面でできない事は、急斜面でもできない」
まったくその通りですね。これが「緩斜面でできれば急斜面でもすぐできるよ」だったら私はどんなに幸せだろうと思うのですが(笑)。25度超えたとたん18度でできていたことすら何もできなくなるスキーヤーでございます……。
勝手なことを書く殴っているBlogを読んでいただいている槽で、お恥ずかしい限りです。
XXXでできない事は、ZZZでもできない
の仲間に、
Rの小さい板でできない事は、Rの大きい板でもできない
ってのもあるかと思っています。
カービングターン系の練習での話ですが。
パウダーとかコブでは、また話が違うでしょうね。
それでは、今後もよろしくお願いします。
>KNJさん
「Rの小さい板でできない事は、Rの大きい板でもできない」
この事実は、他方、ずらす技術の大切さをあらためて思い出させてもくれますね。サイドカーブに依存したカービングの滑りも爽快ですが、スキッディングの融通無碍な応用性にも最近魅力を感じています。そういう意味でも新教程には期待が持てそうですね。
今度とも、よろしくお願いいたします。