「ヒャ──────ッホォウ!!」
人はなぜ、パウダースノーに突っ込むと奇声をあげてしまうのでしょうね。
前日のブランシュたかやまに引き続き、2/15(金)もひとり合宿です。宿泊していた諏訪では私が目を覚ました7時ごろからちょうど雪が降り始めましたので、山はもう少し前から降っていたかもしれません。
「もしかしたらパウダーにありつけるかもしれない……」
うっすらとそう期待しつつ、この日の練習場所、エコーバレーに向かいました。エコーバレーは前日訪れたブランシュたかやまのお隣。ルートも同じですが、前日フルコースドライだった道路状況はフルコース圧雪路に一変していました。
初号機をかついでコースに出てみると、案の定パウダーです。ベース周辺で20cmくらいはあるでしょうか。なにしろ平日で極端に人が少ないですから、そこらじゅうに新雪パウダーが残っています。ためしに踏み入ってみると、軽い。ぱふんぱふんです。
この日のエコーバレーは全面的にスネパウです
とりあえず上部で唯一運行していた第4トリプルでトップを目指すと、そこにはノートラックが待っていました。
わりとのんびり出てきたのでトップに立った時は9時を過ぎていたと思いますが、上部いちばん右奥の「サンライズゲレンデ」はノートラックでした。コース左端に一本だけスノボがチョッカッたらしきトラックがあるだけです。私が事実上のファーストトラック。
「ヒャ──────ッホォウ!!」
パウダーに飛び込むと、その気もないのに奇声がのどから飛び出ますね。もちろんガマンする必要などないので飛び出るにまかせます。ベースよりやや深く30cmほどでしょうか。底突きはありません。めっちゃくちゃ楽しいです。
サンライズゲレンデ。これぞノートラック。
もう一度戻ってくると、スノボのチョッカリ痕が右に一本増えているだけで(左の一本と同じ人物でしょう)中央は私がセカンドトラックです。どうやらここは私ともうひとりの貸切パウダーゾーンのようです。
二本目がセカンドトラックとは(笑)
二本目でうっかりトップが沈んだ拍子に前転し、オーバーヘッドパウダーを食らったのを機に、こんなこともあろうかと持ってきていた参号機 K2 Iron Maiden にマテリアル・チェンジ! クルマに戻ったついでにかぶった雪を少し乾かします。
どうも先を争ってパウダーを食い合うような雰囲気ではないようです。スキー場に来ている全員で分け合ってもまだ余るほどのパウダーがあるのです。のんびりといきましょう。その間にも雪はまだどんどん降っています。
秘技、マテリアル・チェンジ! 参号機アイアン・メイデン、出撃!
上部に戻るとちょうど第6クワッドが運行を開始したところでした。パウダーを目指してお客が殺到するかと思いきや案外そうでもなく、「ハイローゼン」でもおいしいパウダーを腹いっぱいいただきます。やはりファットは浮力が違いますね。もちろん、奇声が出ます。
ハイローゼンは少々食われてますが、食われてないルートも選び放題です
パウダーライドは体力的にきついので何度か休憩をはさみましたが、休憩のつどコースはリセットされ、というか、さらにパウダーは深まり、どんどん楽しくなっていきます。全然人の来ないサンライズゲレンデでは、最深部でひざ下くらいまではあったと思います。
またまたサンライズゲレンデ。昼飯食って戻ってくるとリセットされてます(笑)
結局この日は足腰立たなくなるまでサンライズゲレンデ〜第4トリプルリフトを果てしなく回していました。リフト乗り場に到着するたびにゼエゼエと肩で息をし、しまいには普通に止まるだけでも転びそうになる始末。そのくらい意地汚くパウダーをむさぼりつくしました。
ここまで本格的なパウダーライドは生まれて初めてなのですが、思いのほかうまく滑れたような気がします。1月に岩鞍でプチパウダーに当たり、そこでなんとなく感触をつかんでいたのが確かに効いています。この日つかんだ私なりのパウダーライドのコツをまとめてみます。
ポジションは斜面に垂直ではなく、地球に垂直に立つ感じで、整地スキーと比べるとド後傾。まるで空気イスのようなフォームになります。なので前半身の筋肉(すね、腿、腹筋)を酷使します。スタンスは密脚ほどではない閉脚、かかと荷重。2枚を1枚の板のように使って、板の後ろ半分を使って雪を踏み分けていくような感覚です。
スピードは速ければ速いほど得られる揚力が大きくなるので、とにかくどんどん下に落ちていきます。急激な動作をしても板はうまく反応しないし失速の原因になるので、のびやかなリズムでゆったりと、かつできるだけ大げさに荷重抜重してターンします。
パウダービギナーの書くことなのでうっかり信じないようにしてくださいね。でもこの滑り方でひざ下パウダーを泳ぐように滑りまくることができましたよ。
突然のパウダースノーを前にしたとき、ゲレンデには3種類のスキーヤーがいるようです。
(1) パウダーに関係なく整地みたいな滑りができてしまうスゴイ人
(2) 整地滑りは忘れてパウダー滑りにうち興じる人(←私ココ)
(3) 整地のように滑ろうとするがまったくスキーにならない人(←昨シーズンの私)
もともと降雪量の少ない八ケ岳エリアということもあるのか、(1) も (2) も私が見た限りではごくごく少数で、(3) のスキーヤーが圧倒的多数のようでした。
ひざ下まで埋まりながら、それでも必死に内足主導のSAJ滑りを練習している人がいました。ターンのたびに止まってしまって、傍目にも何かの練習になっているようにはとても見えませんでしたけれど。そもそも前に進まんでしょう。
休憩所で世間話したオヤジさんも「まったく、こんな深雪じゃ突っかかってカービングなんかできやしないし、もうアガッて温泉にでも行こうかな」なんて言ってました。カービングするつもりでおられたとは……。このスキー場では、パウダーはそれほど歓迎されているわけではなさそうです。
そんな彼らにひそかな優越感を感じつつ、また、新たなスキーの楽しみの扉をまたひとつ自分の手で開いたことに確かな満足感を感じながら下山すると、中央道が雪のため伊北〜小淵沢間で通行止めになっていました。諏訪から小淵沢までヒイヒイ言いながら国道20号を走り、家に帰る頃には早くも全身を筋肉痛が襲い始めていましたとさ。
帰ろうとしたらクルマはこのありさま。6時間ほどで。
う うらやましいぞ! コノヤロウ(笑い)
>前転さん
前転さんからはきっと何らかのリアクションがあるだろうと期待しておりました(笑)。
たいへん幸せなひとときを過ごしました。今年は例年より新雪に当たる確率が多いような気がしますね。前転さんにも良いパウダーが訪れることをお祈りしています!