下調べをしたり予行演習をしたりしてシリーズ化の様相を呈していた「PD-5610分解整備プロジェクト」ですが、ついにそれを実行に移す日が来ました。この土日とも大雨で、自転車の整備くらいしかすることがなかったのです。
ただこの計画を実行に移す前に、小さいけれど致命的な問題がひとつありました。
クランクからペダルがはずれない。
がっちりきつく組み付いていて、私のつたない工具さばきでは押しても引いてもびくともしないのです。しかたなく、立川のマングローブバイクスさんに泣きつくことにしました。ねじがはずれない時しかこの店に行っていない気がしますが。
せっかく久しぶりにマングさんに行くのにねじの固着解除だけってのもさびしい。ほかに何かお願いできることはないかなーと思い考えていたら、ありました。
キシエリのフリーボディのオイルアップ。
先日の三浦で大豪雨のただ中を走ったので、注油してやる必要があります。ついでに分解・注油の方法も教わっておきたい。
それともうひとつ。マシンを掃除していてRDハンガーがぐらついていることに気づいたので(だから掃除って大事さ)、その対処法についても教えてもらおう。2本の固定ネジを増し締めすればよいのだろうとは想像がつきますが、ついでなので。
さて、マングローブバイクスを訪れますと大将は別のお客さんのマシンを整備中でしたが、相談内容を説明すると作業を割り込ませてくれました。
ペダルの固着は秒殺。「こんなに固く締める必要ないんですがねー」大将、それ着けてくれたのたぶんあなたです……。
フリーボディのオイルアップはたっぷり説明を受けながらしっかり見学させてもらいました。このあたりは、自分でやる時にあらためて記事にします。
ディレイラーハンガーのぐらつきは想像通り締めるだけでしたね。
あっという間に用は済んでしまいましたが、ちょうどその時外をゲリラ豪雨が襲い、店を出るに出れなくなってしまったので、雨宿りと称して(クルマで来てるんで雨宿りの必要なんかないんですが)、例によってしばらく作業を見学させてもらうことに。
世間話しながら作業を見せてもらうだけでいろんな勉強になります。
なにかひとつ質問すると、かける十くらいのノウハウ・ウンチク・豆知識が自動的に返ってくる。しかもここの大将はそういう時ちっともエラソーぶるところがない。「知らないだろうから教えてやる」じゃなくて「こういうことも覚えておくといいよ」というスタンス。普段の私は同僚相手にくだらない雑学をエラそうに披歴しては喜んでるせこい男ですが、マングローブに行くとアホみたいに「へぇーっ!」「へぇーっ!」を連発してます。
一時間以上もお邪魔していたでしょうか、ちょうど晴れ間が出てきたのでおいとますることにしました。
「じゃ、ペダルがはずれたんで、うち帰って自分で分解グリスアップに挑戦してみますね」
「やめてください」
……え?
「それはやらないでください。ガタが来ます。いじらずに乗って、ガタが出たらそれが寿命です」
く、くわしく。
「今の回転がそのペダルのベストです。バラせばベアリングの順番が変わっちゃうでしょ。今より良くはなりません。バラさず使い続けてガタが出てきたら新しいペダルと交換する、そういうものなんです」
だって、軸をはずす工具(ロックブッシュ戻し工具・TL-PD40)とか売ってますよ? 買っちゃいましたけど?
「それは軸にトラブルが出た時に軸ごと新品交換するための工具と思ってください。玉当たりを調整する専用工具もうちにありますけど、ほら、全然使ってないでしょ」
へえーっ!!
ペダルの分解整備、私の中ではわりと一大イベントだったんですが、実行に移さないままシリーズ完結です。ご愛読ありがとうございました。
そうだったのかあ。あ、PD-M540、バラしちまったな。