KLIИTの話の続きです。
過去の記事はこちら。
第一回 : 板ほしい病(治療不可)
第二回 : KLIИTにメールで聞いてみた
あれから KLIИT について自分なりに調べてみました。
私はてっきり、フリースタイル系の小さなメーカーによくある、有名ライダーが「ほしい板は自分で作っちまえ」的なノリで立ち上げたバックヤードビルダーのひとつなのかと思ってたんですが、どうも違うようです。あ、バックヤードビルダーってもろに自動車用語なんですが、雰囲気はわかりますよね。
KLIИT は、SnowFab という商品企画会社が持つ子ブランドのひとつのようです。
2011年つまり今年発足した SnowFab は、ドリンク剤(ROCKSTAR)やら雑貨ブランド(Paul Frank)やらとタイアップして商品ロゴ入りスキー板を作ったりしています。基本的にブランディングとライセンシングを軸にした商品企画を手がける会社なんですね。
そして KLIИT は SnowFab 初のオリジナル・ブランドということだそうです。メーカーではないということですね。なので KLIИT のサイトにも、普通のスキーメーカーのサイトなら必ずある製造技術についての能書きがまったくありません。
つまり自分たちでは作っとらんということです。設計・デザインまではするが、実際に製造を行うのは別の会社。生産設備に多額の投資が必要な半導体の世界ではこのような業態は多く、ファブレス企業と呼ばれています。AMD とか nVIDIA とかがコレですね。ファブレスなのに SnowFab とはよく名乗ったものだと思いますが。
でまあ、以下が本論のハイライトなのでありますが、KLIИT が作ってないなら、じゃあどこが作ってるんだと。
なんと、スワローでした。
日本にまったく入ってきておらず、入手しようと思ったら莫大な空輸送料を負担しなければならないという憧れの板は、実は日本の会社が OEM 供給していた、というオチ。
長野県飯山市のスキーメーカー、スワロースキーは創業60年の老舗。OEM を含めると国内シェア 30% なんていう情報 もあります(本当?)。現在、スワローの生産拠点は中国・大連とのことなので、有名メーカーのスキーカタログに「Made inChina」と書いてあればそれはもしかしたらスワローの OEM かもしれません。KLIИT の NOISE もおそらくは中国製ということになりますな。
さて、
- KLIИT は「作り手」ではなくむしろ「企画屋」である
- そのスキーは日本では手に入らないが日本の会社による OEM である
- そしてたぶん中国製である
これらのことがわかってしまい、私の物欲は今や宙に浮いております。「板のスペックなど関係ない」と先のエントリでは書きましたが、いや、スワロー製ということで品質面ではむしろ安心感が強まりさえしたわけですが、ホンモノ感やプレミアム感はいっきに失われたと言ってよく、「そこまでして欲しい板だろうか?」と自問しているところです。
さて。