上りホームの男声アナウンスと下りホームの女声アナウンスが偶然シンクロすることを
あしゅら男爵
と呼んだ友達がいました。うまいこと言うなあ。
毎度。俺です。
すんません。スキーネタの記事もまとめ書きです。
今シは首尾よくマイロッカー(月極ロッカー)を借りることができまして、と言っても私が申し込んだ時には最後のひとつというタイトロープだったのですが、ともかく、自転車で狭山に通うという夢の様な環境が整いました。
前回の記事で書いたマイマシンのシェイクダウンも兼ねて、11月2日3日は自転車で、先週末11月8日はクルマで狭山に行ってきました。11月ともなると自転車は寒いですね。私は自転車の冬装備をあまり持っていないので工夫せんと……。
そういえば狭山は今年また地味に値上げをしましたね。4時間券が2,800円から2,900円になり(会員料金)、駐車料金も1,100円から1,200円になりました。
去年は3時間券2,300円を4時間券2,800円に、という人を複雑な気持ちにさせる料金改定をした狭山ですが(私は実質的な値上げだと思っています)、今年はまっとうに料金を上げてきましたね。どうもせちがらい。
初日の雪の多さにちょっとびっくりしたのですが、雪は順当に減ってきて、8日(土)はゲレンデ上部で地肌が露出していました。中腹も私が滑る夕方はもうボコボコです。いつもの狭山ですね。斜度はゆるいけれど決して滑りやすいとは言えないこのコンディションを、バランスを崩さず平常心で滑れるようになれば足慣らし完了でしょうか。
マイロッカーの申込ついでに滑った初日はほとんどスキーになりませんでしたが、だんだん感覚を思い出してきました。というか、このオフ、私のターンイメージにドラスティックな変化が起きていて、「去年の滑りを取り戻す」というフェーズは飛ばしていきなり新しいターンイメージへ近づけていこうとしています。
このオフシーズン半年かけて、昨シの終盤に知り合ったスキー仲間たちから吹き込まれた競技スキーをベースとする(=基礎スキーとは異なる)方法論をじっくり咀嚼していました。彼らも私が理解しやすいようになるべく一般化・モデル化して教えてくれるのですが、やはりそれは彼らの感覚でしかありません。その意味するところを読み解いて自分の感覚に翻訳しなおす作業に半年かけた、ということです。誤訳があるかもしれませんが。
どんなターンイメージかは言語化が難しいんですが、「重心移動が大きくて”く”の字姿勢が強い、レーサーのような鋭いカービングターン」とでも言えばよいでしょうか。
ポイントだけ書きますと、「外足は常にじゅうぶんに伸ばして腰から荷重する」「切り替えではじゅうぶんに立ち上がり重心を高く持ち上げる」「上体はじゅうぶんに前傾させつつ谷を向き続ける」などです。ほかにもいろいろ条件というか気をつけなきゃいけないことは多々あるんですが、それぞれ連携していて「AをするためにはBに気をつけねばならずそのためにはじゅうぶんにCをすることが肝要」といった具合に因果関係がつながっています。
会社の喫煙室で体を動かしながら、「ふむ、こうしてこうするにはこうならなきゃだな」とあらかじめ確認しておいたことも、実際に傾斜した雪面に立ってやってみると勝手が違う。そんなことがほかにもたくさんありました。
なにより痛感したのは、自分の期待する姿勢を作るためには「どこかに力を入れる」ばかりではなく、「どこかの力を正しく抜く」ということをしなければならないようだ、ということです。そう感じたのは特に腰です。
正対・内倒のカービングターンならいくら上体をブロックしていてもなんとかなるんですが、深く大きな外向傾をとるためには腹筋だの背筋だのといった腰回りの筋肉のどこかを(どこかよくわかりませんが)正しく脱力していないとダメみたいなんです。柔軟さと言うんでしょうか。
同じことが前傾姿勢のとり方にも言えて、猫背ではなく背筋を伸ばした深い前傾姿勢をとるためには、やはり腹筋あたりのどこかの力を抜いて骨盤をペニョッと前に倒さねばなりません。また、骨盤の前傾と股関節の屈曲の間にも密接な関係があるようで、骨盤の角度がキマらないと股関節の角度がキマらず、それがキマらないと外足が雪面に重みを伝えるベクトルもキマらず、それがキマらないと作りたい外向傾にならない、といった具合に、すべてのパラメーターが互いに影響しあっているのです……。ここらへん、自転車のポジション出しにも似ていますね。一箇所を変更すると全部見直さなきゃいけなくなるっていう。
ともあれ、滑っているうちに前後のポジションがおおむね出たので、徐々にターンを整えていきます。荷重マキシマムとなる4時半から切り替えを通過して谷回りの10時半まで、このフェーズがおそらくターンの質の多くを決定すると判断し、重心を運ぶ方向と板のさばきを試行錯誤し続けました。
「左右の板がすれ違う」「一歩前に出る」「重心を谷に放り投げる」「外足を背後に蹴る」「内スキーを吊り上げる」「両手を前に出す」などなど、自分なりにこうすればいいのかなとイメージした工夫をひとつずつ試し(いくつも一度にはとてもできないので)、それぞれがどんな風に板の反応につながるかを確認していきます。
狭山は距離が短いぶん「次はああしてみよう、次はこうしてみよう」とテンポよく試行を継いでいけるので逆に都合がよいですね。「まずA」「次にB」「両方できたから、A+Bでやってみよう」みたいに。
狭山の雪は雪と言いつつもフラッペで、適当に板を傾けただけではなかなかエッジが噛んでくれませんから、試行錯誤の結果判定もはっきりしています。ちょっとでもうまくなかったら噛まないしふらつく。なので、狭山で「これはいい感じ!」と思えたら、その試行は正しい確率がだいぶ高いのではないかと思ってます。しかし必ず正しいとまでは言い切れません。
こうやって一人で色々と沈思黙考しながら工夫して滑るのは、みんなとワイワイ滑るのとはまた違った楽しさがありますが、自分の滑走感だけを頼りに試行錯誤を続けていると、間違ったものを「イイ感じ」と勘違いしてどんどん悪い方へテクニックを深めていってしまうリスクがあります。昨シーズンの私などは完全にそれでした。狭山通いはもう少し続きますが、そろそろビデオカメラを持ち込むべきかなと考えています。人の迷惑にならないところに設置できればよいのだけれど……。
なんか、ずいぶんとわかった風なことをあれこれと書きましたが、あくまでも俺レベルでの話ですからね。ハタから見たら笑っちゃうようなヘタクソでも、頭のなかではそれなりに一生懸命考えてるんだよってことです……。