やあ。
世の中お盆休みだね。みんなはどんな風に過ごしているかな。
ぼくも、仲間たちと千葉県の館山にサイクリングに行ったよ。
一緒に行ったのは、小理屈派のピナレロ乗りK、その嫁で感性派ビアンキ乗りのJ、肉体派CAAD8乗りのIという、このブログにはよく登場してくれる友人たちさ。彼らとはもう20年来のつきあいで、僕達はとても仲良しなんだよ。
このチームのリーダーKはここのところヒルクライムにハマッて山にばかり行くので、山の苦手なぼくは困り果てていたのだけれど、今回はKの家族サービスで平地ばかりのポタリングさ。こういう企画は大歓迎だよ。のんびり走るのも大好きさ。
嫁Jは「わたしのためにありがとう、ゆっくりでごめんねごめんね」と言っていたけれど、恐縮することはないんだ。これもぼくにはサイクリストとして大切な経験になるからね。
初心者や走力の低い人を連れて走る時にはどんなことに気をつけなければいけないか、どんな風にすると楽しんでもらえるのか、どんなトラブルが起こりがちなのか。そういうことを知っておくのもサイクリストとしての経験値だからね。

人はどうして悲しくなると海を見つめに来るのでしょうか
朝6時に海ほたるに集合、8時にスタート地点の「道の駅三芳村鄙の里(みよしむらひなのさと)」に到着。とても暑いよ。とても暑い。
ペースはゆっくり20km/h、こまめにストップして水分ミネラルの補給を心がけながら走る。とにかくものすごい猛暑だったからね。

嫁JとダンナK。感じの悪さで定評のあるKだが嫁にはやさしい
コースは、外房黒潮ライン(国道128号)より南の房総半島を海岸づたいに時計回りに1周する約65kmほど。ずっと海岸づたいの「房総フラワーライン(国道410号)」に沿って走るので起伏はほとんどないし、道に迷う心配もない。そして沿道にはおいしい海産物を食べさせるお店が軒を連ねてる。ほんと、館山はサイクリングのためにあるような場所なんだ。
まず房総黒潮ラインにそって東に進み、千歳のあたりで海岸に出た。内陸スタートにしたのは、しばらく走ってから一面に広がる大海原の眺望に出迎えられる、っていうドラマ性を演出したかったからなんだけど、この日ぼくたちを出迎えてくれたのは、一面に広がる霧だったよ。

陸を攻めてきている感じのする霧
これにはがっかりだった。だって、海の上は視界がほんの2、30mしかないんだもの。とにかくものすごく濃い霧だったよ。スティーヴン・キングの『ミスト』とか小松左京の『首都消失』とかを思い出すような、ちょっと不気味な霧。
あとはもう、霧が晴れて水平線が見られることを祈りながら、ひたすら海岸づたいに自転車を走らせる。気温はすごく高かったけれど、自転車で風を受けながら走っていると暑さもそれほどつらくない。

Iはカメラを向けると面白い顔をしてくれていたようだ
野島崎灯台に立ち寄ったり(濃霧で視界不良だったので灯台には登らなかった)、安房神社の例大祭をひやかしたりと、のんびりとあちこちで小休止しながら走ったんだけど、房総フラワーラインの走りやすさもあって行程はわりとサクサク進んだよ。

安房の神輿はすごい勢いで揺するスタイル
ところどころ、房総フラワーラインよりもさらに浜側にサイクリングロードのような道がしつらえられているところもあったけど、海水浴客が往来していたり、道が砂で埋まっていたりして、正直なところロードバイクで走りやすい道とは言いがたかった。千葉県道403号和田白浜館山自転車道線っていうちゃんと自転車用に作られた県道らしいんだけど、ここを走っている自転車は絶無だったよ。
昼飯は「海の駅だいぼ」というひなびた施設の食堂。こういうところで出てくる海鮮もちゃんと水準以上においしいのが館山クオリティだね。あ、このブログには食べ物の写真が全然出てこないけど、ぼくは飲食店で料理の写真をばちゃばちゃ撮るのははっきり言って下品なことだと思ってるんだ。ブログとしてはつまらないかもしれないけれど、これはポリシーだからね。
初心者の嫁Jが何かやらかすかと思っていたけど、結局トラブルらしいトラブルもないまま無事にもとの道の駅にたどり着いて、サイクリングは終わった。

こんなストレートが何キロも続く房総フラワーライン
よく「大丈夫! まだ大丈夫だから!」って笑顔で答えながらも実はギリギリまでつらいのをガマンしてて、周囲が異変に気づいたときにはすでに進退きわまってるみたいな人がいるけど、嫁Jの場合はそうじゃなくて助かった。くたびれたりしんどかったりしたらほどほどに不機嫌になったり無口になったりしてくれるから、早め早めに休憩の判断やペースの案配ができた。そのほうが、面倒を見る側としては助かるんだ。
さて、サイクリングのあと、「いこいの村たてやま」っていうホテルの浴場を使わせてもらったんだけど(日帰り入浴700円)、ここでビッグ・サプライズがあった。なんと、この宿泊施設の支配人がぼくたちの友達だったんだ。みんな彼がここで働いてるなんてまったく知らなくて、お互いびっくりさ。しばし談笑したよ。偶然って不思議だね。
そして晩ご飯。お盆休みのおかげで、入れる店を探すのに少し苦労したよ。結局、館山駅前の「波奈(はな)」っていう大きなお寿司屋さんにした。お味はまあまあだったんだけど、最初に頼んだ握りもまだ出てきてないうちに「ラストオーダーになりますが」とか言ってくるのでちょっと「あれえ?」な感じだったよ。まあ、ぼくたちの入店が遅かったのがいけないんだけど。ラストオーダーは延ばしてもらえたし、延ばしたからにはぼくたちもちゃんと注文したから、おあいこだよね。
宿泊は「シーガル」っていうペンション。お盆だっていうのに前日に予約してもまだ部屋が空いていたのでクオリティがちょっと心配だったけど、ちゃんときれいなペンションだったよ。ただ、素泊まりだったのでお料理のことまではわからない。でも、次は料理つきで使ってもいいなと思える宿だったよ。
ご主人はきさくでいい人だった。カクテルに凝ってるらしくて、夜は一杯600円でカクテルを出してくれる。目の前でシェーカーを振ってくれるよ。ただ、「ブルドッグ」って言ってもキョトンとしていたので本職というわけではないのかな(ブルドッグはソルティドッグから塩を省いたもの)。
翌日は白浜野島崎でブランチをいただき、帰り道には東京湾フェリーを使ってみたよ。行きも帰りもアクアラインじゃつまんない。アクアラインの800円に比べると船賃の3,880円は高いけど、旅のいいアクセントになるし、すいてるし、短い時間だけれどやっぱり船旅はうきうきするね。この日は海上にたちこめた濃霧のせいでしばらく欠航してたらしいんだけど、ぼくたちが乗ろうとしたタイミングでちょうど運航が決まって、すんなり出航できた。これはツイてたな。

チビッ子たちもフェリーに大はしゃぎ
そうだ。今回のポタでぼくはひとつだけ、痛恨のミスをやらかしたんだよ。
何かっていうと、サイクルコンピュータを忘れた……。いざ忘れてみて、ふだんいかにサイクルコンピュータを有効活用しているかがよくわかったよ。
ぼくは、みんなでサイクリングするときは成り行きで引率者的な役割を担うことが多いのだけれど、そういう時はサイクルコンピュータの表示をメイン=速度、サブ=時計にしてる。こうしておくとペース配分や休憩スケジュールを管理するのがラクなんだ。あの人つらそうだから20km/hは超えないようにしよう、とか、あと15分走ったら休憩しよう、とかね。今回はそれができなくて困った。
そのほかに、いつも几帳面にエクセルにつけている走行記録の積算距離にズレが発生してしまって、あとで数値を調整するのがめんどくさいなあ、とか。最近はオドメータの数値を改竄できるサイコンも多いようだけど、ぼくのは古くて安物だから、それができないんだ(ゼロリセットすることしかできない)。ま、小さなことだけどね。
それと、当初の予定では安房グリーンラインっていう広域農道を走ることを検討していたんだけど、アップダウンが多そうだったので直前でここを走るのは中止したんだ。でも、帰り際に下見を兼ねてみんなでクルマで走ってみたら、ものすごく快適で楽しそうな道だったよ。森の中を広くてきれいな道がゆるやかなワインディングを描いていて、しかも交通量がものすごく少ない。次に来たときは絶対に走っておきたい道だね、安房グリーンライン。