2013年08月20日

試乗を終えた私を襲った不幸とは

Grove宮前平でのCAAD10試乗を終えた私は、物欲と理性のはざまで苦しくうめきながら帰途に就いたのです。

短いトンネルにさしかかったので、走りながらサドルバッグに取り付けたテールランプのスイッチに手を伸ばしました。

「よっ。ん? あれ? ……ない!

とりあえずトンネルは後方無灯火で急いで通過し、自転車を降りて確認。

ねえわ!!

サドルバッグに取り付けていたテールランプ(1,000円相当)が忽然と消えています。

や・ら・れ・た……」

これは、試乗中の出来事っすね……。私がキャッホウとか言いながら試乗車に乗っている間に、店頭のバイクハンガーにハングしておいたマイバイクから持ち去られた疑いが濃厚。

直前までついていたという確証はありませんが、先週末の館山サイクリングで撮影した写真にはしっかりテールランプがついた状態で写っていますし、それ以来取り外したりもしていないので、着けっぱなしだったというのが私の認識。取り付けに少し苦労するほどなので、運搬のはずみで簡単に脱落してしまったりはしないはず……。

せめてひとなみに。-あるない

一週間前の写真にはたしかに写っているテールランプが、なくなっている

盗まれたテールランプは、まあ、話せば長い色々な事情がございましてわりと苦労して探し出した一品だったんですよ。てゆうか話せば長いその事情をいったん1,000文字くらい書いたんですが、話せば長いって書けば足りるじゃんと思って消しました。

ともかく、今の気持ちを率直に申し述べますと、

地味にくやしい

何しろ自転車周りで盗難の被害に遭うのは20年以上前に愛車のミヤタ・カリフォルニアロードを盗まれたとき以来。しかも、自転車店の店先に置いといた自転車からライトを盗むなんて、大胆不敵な犯人じゃありませんか。1,000円くらいの品物なので、騒ぎ立てるのもアレだし……つうか、お店の人はいったい何をしていたのカト……。

泥棒が私のテールランプを見て「俺がほしかったのはコレだよ、コレ!」と思っただろうことは想像できます。なにしろ私もそう思って買ったのですから。しかしだからといって持ち主が試乗車のサドルの上でキャッホウとか言っている間に持ち去ってよいということにはなりませんよ。もう。

フロントが手前になるように吊るせば盗まれなかったかな〜。しかしそうしたらそうしたで、これもお気に入りのknogのフロントライトとかサイコン本体とかが盗まれていたかもしれない。

ともかく尾灯なしでは走れないのでその日のうちに同じ物をもう一度買いましたさ。

ああくやしい。

せめてひとなみに。-Bikeguy Tristar Rear

Bikeguy Tristar Rear すぐれたテールランプです

ついでにこのテールランプのご紹介をいたしましょう。

Bikeguy というメーカーの Tristar Rear という製品。お値段は約1,000円。やたら明るい3個のLEDがいろいろ光ります。背面のクリップで私のようにサドルバッグに装着したり、サイクルジャージのポケットに引っ掛けるなんてこともできます。軽量コンパクトだし、付属の固定バンドも超シンプルで、ロードバイクの装備品は軽いことが正義!っていう人にはマジでおすすめ。

posted by Gyochan at 00:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | 自転車

2013年08月18日

CAAD10を試乗してみる

CAAD10がほしくなったものの、これを買う合理的な理由が見つからないので、試乗車に乗ってみることにしました。

はい。えー、ツッコミたい気持ちはわかります。

ふつうは、買いたい理由が先にあって、それを確認するために試乗するもんです。「買う理由はないが、乗れば理由が見つかるかも」などという言語道断な動機で試乗に臨む人は少なかろうと思います。「地雷が落ちてないか、ちょっと歩いてみる」と言っているようなものです。いや、違うか。

いーんですッ!

ほっといてほしいッ!

自分の自転車(2006年式CAAD7)がどんだけ時代遅れになっているか確認するだけでも意味があるってもんですから!

CAAD10の試乗車を用意してそうなお店は近所にもいくつかありますが、あまりお世話になりたいと思える感じのお店ではないのでやめておき、Cannondale公式サイトのディーラー検索から自走で行けそうなお店を探して、電話で試乗車の有無を確認。Grove宮前平という新しめのお店に試乗車があることがわかりました。片道20kmくらいなんでサイクリングがてら。

せめてひとなみに。-grove宮前平

Grove宮前平。今どきのスポーツ自転車店、広さはコンビニくらい。

Grove宮前平はこざっぱりとキレイな明るいお店で、まさに今どきのスポーツバイク専門店という感じ。店員さんたちも若くてにこやか。初心者でも入りやすいお店なのではないでしょうか。雑然とした店内でとっつきにくそうなこだわりオヤジが黙って作業してる、という従来のスポーツバイク店の雰囲気ではありません。もうそういうお店も(相対的に)少なくなってしまいましたね。

さて試乗車。CAAD10の試乗車は2013モデルの6700アルテグラ仕様でした。CAAD10 3っていうやつですね。意図せずして先代アルテグラの試走もできてしまうことになったようです。ホイールはMAVICアクシウム、タイヤは吊るしのままならばおそらくMAVICのアクシオンでしょう。

私はシューズがSPD-SLなのでそれに合わせてアルテグラのぺダルをつけてもらい、「試走コースは特に決まってないんで、好きなだけ乗ってきていいですよ」のお言葉に甘えて、好きなだけ乗らせてもらいました。コースはお店のある尻手黒川道路・宮崎台駅・宮前平駅を結ぶ三角形、勾配8%300mの坂道を含む1周2.2kmのコースを2周しました。

せめてひとなみに。-試乗車

試乗車は 2013 CAAD10 3

パキンパキンとビンディングペダルをはめるところから驚きです。「おお、アルテグラペダルというのはこんなにパキンパキン言うのか」もうド素人ですわね。

よいしょと踏んでみると、ふわあ、進む! 澄んだ加速! そしてなんだこの足元のしっかり感。なんかね、クランク周りがしっかりしてるんですよ。あのね、ペダルとリアホイールが直接つながってるみたいな感じ。私のCAAD7マシンに比べて、逃げてる力がずっと少ない感じがします。CAAD7に乗ってる限りでは力が逃げてるなんて感じたことはなかったんですが、こうして別のマシンに乗ってみるとわかるもんですねえ。

まあ、私のCAAD7の駆動系は何から何まで古いですから。クランクは5500系105、BBはオクタリンク、つまりクランク周りは1.5〜2世代前のものです。試乗車のBB30+FSAカーボンクランクに比べればフニャフニャだった、ということなんですね、きっと。いやあ、これは勉強になった。

そして、コンパクトクランク初体験。今まで53-39T、53-42Tとノーマルクランク路線を走ってきた私にとって、インナーの軽さはカルチャーショックでした。試乗コースの脇にドーナツ舗装の急坂(15%くらい?)を見つけたのでインナーローで登ってみましたが、歩くようなラクさですね。

アウターからインナーに落とした時の落差の大きさにはちょっとひるみましたが、フロントはそう頻繁にシフトチェンジするものではないですしね。

6700アルテグラのシフター、これもいいですね。私の5500系105のSTIレバーと比べて、リア側シフトダウンはストロークが半分くらいで「これはいい」と感じました。シフトアップのフィーリングはそう大きくは違わない感じ。フロント側も、コンパクトクランクで歯数差があるのに苦もなくチェーンが乗り換わります。わざとたすきがけなシフトもしてみましたが、平然とチェンジします。うーむ、スゴイ。

あと、CAAD10+6700アルテグラのブレーキは半端なく利きますね。私のTRPが全然効かない類なのかもしれませんが、「ああ、よく利くブレーキとはこういうものか!」という驚きがありました。6800では利きの良さはそのままにさらにコントロール性が向上しているというのですからさらに驚きです。

コース上には勾配-10%ほどのダウンヒルもあり、途中には右コーナーもあるのでちょっと突っ込んでみたところ、フロントがふらつきました。「おっと」という感じ。これはフォーク&ヘッドのせいなのか、それともタイヤのせいなのか。

そして、肝心の乗り心地

これも、なかなかよいです。たしかに、CAAD7とははっきりと違います。ただ、「ひゃーっ! こんなに違うわけ!?」とびっくりするほどの差ではないですね。「うん。たしかに違う」というくらい。

わざと小さな段差やマンホールを通過して確かめてみましたが、CAAD7ならガタンガタンとなるところがCAAD10はゴトンゴトンという感じ。微妙だけど(笑)。荒れた舗装が長く続くような場所では、こういう小さな差がじわじわ効いてくるのだろうなと思います。もっとも、乗り心地の向上というより、路面追従性の向上のほうが恩恵がでかい気がします。要は、ハネない。グリップを(=トルクを)維持してくれる。クルマとの対比で言うと、いいサスつけてる感じ。

店の前の大通り(尻手黒川道路)はわずかに下り基調のどストレート。しかもこの日は追い風。気持よく飛ばしてみました。でも、ああ、サイコンがついてないので何キロまで出たかわからない……。6700アルテのSTIは下ハンブレーキが引きやすいですね。

なるほどね。

しっかり試乗を堪能して店に戻ると「長かったですね(笑)」と言われました。好きなだけ乗っていいって言ったじゃんか。試乗が楽しかったことを告げると店員さんたちも喜んでくれたので、いいお店だと思います。

そのあと店員さんから色々お話をうかがいます。年末くらいまでは品切れを心配する必要はないだろうとのことでしたので、「急いで買わなきゃなくなっちゃう!」みたいなことにはならないようです。

店を辞したのち、自分のマシンでもう一度試走コースを走ってみました。う〜ん、ややもっさりかなあ。シッティングでトルクをかけた時やダンシングでは、やはりクランク周りのしっかり感に物足りなさがあります。加速はCAAD10のほうが上ですね。

せめてひとなみに。-後ろ姿比較

左:CAAD10、右:CAAD7。
写真を並べるとよくわかる、アワーグラス(砂時計)シートステーはやはりカッコイイ

坂の登りやすさみたいなものは、その坂を登るのにぴったりしたギア比があるかないかでずいぶん印象も違うんじゃないかとは思いますが、やはりCAAD10のほうが上ですね。まあ私のマシンはサドルに重たいサドルバッグをつけていますので、ダンシングで振ったときの印象は比較できませんけれども。

ダウンヒル、コーナリングはどうも私のCAAD7のほうが安定しているようなのですが、これはう〜ん、タイヤの差なのかなあ。フロントホイールは自分ので走ればよかったかな。

総じて言うと、今のCAAD7よりCAAD10+アルテグラのほうが総合力はかなり高い、という結論が出ました(当然ですが)。しかし、これ今すぐ買い換えるべきでしょ、いつ買うの今でしょ的な強い訴求力は感じるに至りませんでした。

うん、たしかにいい自転車。ほしいなあ。くらい。

ああ。せっかく試乗までしたのに試乗する前と心理状態がまったく変わっていない

と、モヤモヤした気持ちで帰途に就きました。その道中で、私はあることに気づきます。楽しく試乗している最中、知らぬ間に私の身に起きていたある不幸に……。

(続きます)

posted by Gyochan at 23:21 | Comment(2) | TrackBack(0) | 自転車

2013年08月17日

私がCAAD10を買う理由

【この記事を読まれる方へご注意】
検索エンジンで「CAAD10」というキーワードを検索すると、この記事がかなり上位に表示される状態が続いています。が、わたくし筆者は結局CAAD10を購入しておりません。CAAD10の購入をお考えの方は本文を読まれる前にこの点にご留意ください。
また、よろしければ以下の関連記事もあわせてご覧ください。
CAAD10を試乗してみる

健康増進のために自転車でも始めるか、と軽い気持ちでクロスバイクを買ってサイクリングの楽しさに目覚めてしまう人は多いでしょう。

でも、そういう人たちの中には、サイクリングロードでロードバイクに軽々と抜かれるのが悔しくてすぐにロードバイクがほしくなってしまう人もいることでしょう。

そういう方々にわたくしからご忠告申し上げます。

ロードバイク買ったって軽々と抜かれます

しかも今度は自分もロードバイクなので言い訳ができません。純粋に自分の脚がプアであるという事実をつきつけられて、思いっきりしょんぼりする覚悟をしてからロードバイクを買ってくださいね。

無駄話はさておき、本題。

前回の「2014モデルのCAAD10が狂おしくカッコイイ件。」という記事が「ブログ村」の注目記事ランキングで1位になってしまいびっくりしました。2014年モデルのCAAD10がむっちゃカッコよくてどうしてもほしくなった、というのが前回のあらすじですが、本稿はその続きです。

$せめてひとなみに。-CAAD10 3

Cannondale CAAD10 3 アルテグラ完成車 2014モデル

CAAD10がほしいのは事実ですし、実際にそれを購入するお金もなんとか手元にはあります。しかし物欲という本能にただ身を任せるだけではけものも同然なので、理性のある人間として、今必死で「自分がCAAD10を買わなければいけない理由」を考えているところです。

無駄遣いにもっともらしい理由をつけて論理的に購入が必要不可欠だと立証する能力は、将来私がきれいで気立てのいいお嫁さんをもらったあと必ず必要になるはずです。今のところその予定とか予兆はゼロなのですが、身につけておいて邪魔になる能力ではありませんよね。

さて、なぜCAAD10が必要か。

CAAD10が速いからでしょうか。

私はロードレース競技には興味がないので(観戦は大好きですが)、1分1秒タイムを縮めることには関心がありません。CAAD7からCAAD10に乗り換えたらたぶんキロ数秒は速くなると思いますが、私のサイクリングスタイルは特にそれを求めてはいません。自分が速くなるのは喜ばしいですが、自転車が速いことはあんまりプライオリティが高くない。

つまりCAAD10が速いというのはあまり購入動機になりません。

では、CAAD10の乗り心地がいいからでしょうか。

CAAD10は、ブラインドテストしたらカーボンフレームと間違う人がいるかもしれない、というほどの快適性を備えていると聞きます。ヘタなカーボンより乗り心地がよいのでは、というレビューも見たことがあります。

ここ、私がイメージできないポイントです。私は今のCAAD7にしか乗ったことがないので、CAAD7の乗り心地をもって「ロードバイクってこんなもの」と思っています(友人のピナレロクワトロにちょっとだけまたがらせてもらったことはありますが、ほんとにまたがった程度なので乗り心地の印象とかは残っていません)。

そりゃ乗り心地なんて良いに越したことはないですが、フレームの快適性というのがどのくらいサイクリングに「効いて」くるのか私には未知の要素ですし、10年前のレーサーたちはみんなガッチガチのアルミフレームで100kmや200kmのレースを闘っていたのですから、人間なら克服できる問題という気がします。

つまり乗り心地の良さも私にとってそれほど重要な訴求ポイントというわけではなさそうなのです。

となるともう理由は「カッコよさ」くらいしか残っていないのですが、それを購入動機にしてしまうのは「物欲に負けた無駄遣いです」と宣言しているのと同じであって、「無駄遣いにもっともらしい理由をつけて論理的に購入が必要不可欠だと立証」したことにはなりません。

困りました。

このままでは私はCAAD10を買うことができません

ちょっとCAAD10の試乗車を置いている店に行って、私がCAAD10を買う理由を探してきますね。

posted by Gyochan at 22:10 | Comment(8) | TrackBack(0) | 自転車

2013年08月14日

2014モデルのCAAD10が狂おしくカッコイイ件。

キャノンデールの2014年モデルが発表になりましたな。

わたくしは自転車もフレームも買う予定はゼロなのでございますが、やはり気になるので発表会のレポートなどをぱらぱら見てしまうわけです。

せめてひとなみに。-2014 CAAD10 Black Anodized

2014 CAAD10 Frameset (Black Anodized)

ぶほっ

お茶噴いた。なにこれ。

なんですかこの、素晴らしくカッコイイ何かは。

2014年モデルのCAAD10のフレームセットですと?

つや消し黒アルマイト。

い、異様にカッコイイじゃないですかあ〜

ああ〜ごめんなさい〜これ理想ですう〜

俺これほしい。どうしてもほしい。何としても手に入れたい

139,000円。買えなくはない。っていうか買える。今日買える。

ただ、しかしねえ。

我に返ってみると、買う理由が見つからないんです。

でもなあ。これに乗ったら楽しいだろうなあ。ほしいなあ。

posted by Gyochan at 21:39 | Comment(5) | TrackBack(0) | 自転車

2013年08月12日

わいわい館山ライド

やあ。

世の中お盆休みだね。みんなはどんな風に過ごしているかな。

ぼくも、仲間たちと千葉県の館山にサイクリングに行ったよ。

一緒に行ったのは、小理屈派のピナレロ乗りK、その嫁で感性派ビアンキ乗りのJ肉体派CAAD8乗りのIという、このブログにはよく登場してくれる友人たちさ。彼らとはもう20年来のつきあいで、僕達はとても仲良しなんだよ。

このチームのリーダーKはここのところヒルクライムにハマッて山にばかり行くので、山の苦手なぼくは困り果てていたのだけれど、今回はKの家族サービスで平地ばかりのポタリングさ。こういう企画は大歓迎だよ。のんびり走るのも大好きさ。

嫁Jは「わたしのためにありがとう、ゆっくりでごめんねごめんね」と言っていたけれど、恐縮することはないんだ。これもぼくにはサイクリストとして大切な経験になるからね。

初心者や走力の低い人を連れて走る時にはどんなことに気をつけなければいけないか、どんな風にすると楽しんでもらえるのか、どんなトラブルが起こりがちなのか。そういうことを知っておくのもサイクリストとしての経験値だからね。

人はどうして悲しくなると海を見つめに来るのでしょうか

人はどうして悲しくなると海を見つめに来るのでしょうか

朝6時に海ほたるに集合、8時にスタート地点の「道の駅三芳村鄙の里(みよしむらひなのさと)」に到着。とても暑いよ。とても暑い。

ペースはゆっくり20km/h、こまめにストップして水分ミネラルの補給を心がけながら走る。とにかくものすごい猛暑だったからね。

嫁JとダンナK。感じの悪さで定評のあるKだが嫁にはやさしい

嫁JとダンナK。感じの悪さで定評のあるKだが嫁にはやさしい

コースは、外房黒潮ライン(国道128号)より南の房総半島を海岸づたいに時計回りに1周する約65kmほど。ずっと海岸づたいの「房総フラワーライン(国道410号)」に沿って走るので起伏はほとんどないし、道に迷う心配もない。そして沿道にはおいしい海産物を食べさせるお店が軒を連ねてる。ほんと、館山はサイクリングのためにあるような場所なんだ。

まず房総黒潮ラインにそって東に進み、千歳のあたりで海岸に出た。内陸スタートにしたのは、しばらく走ってから一面に広がる大海原の眺望に出迎えられる、っていうドラマ性を演出したかったからなんだけど、この日ぼくたちを出迎えてくれたのは、一面に広がる霧だったよ。

陸を攻めてきている感じのする霧

陸を攻めてきている感じのする霧

これにはがっかりだった。だって、海の上は視界がほんの2、30mしかないんだもの。とにかくものすごく濃い霧だったよ。スティーヴン・キングの『ミスト』とか小松左京の『首都消失』とかを思い出すような、ちょっと不気味な霧

あとはもう、霧が晴れて水平線が見られることを祈りながら、ひたすら海岸づたいに自転車を走らせる。気温はすごく高かったけれど、自転車で風を受けながら走っていると暑さもそれほどつらくない。

Iはカメラを向けると面白い顔をしてくれていたようだ

Iはカメラを向けると面白い顔をしてくれていたようだ

野島崎灯台に立ち寄ったり(濃霧で視界不良だったので灯台には登らなかった)、安房神社の例大祭をひやかしたりと、のんびりとあちこちで小休止しながら走ったんだけど、房総フラワーラインの走りやすさもあって行程はわりとサクサク進んだよ。

安房の神輿はすごい勢いで揺するスタイル

安房の神輿はすごい勢いで揺するスタイル

ところどころ、房総フラワーラインよりもさらに浜側にサイクリングロードのような道がしつらえられているところもあったけど、海水浴客が往来していたり、道が砂で埋まっていたりして、正直なところロードバイクで走りやすい道とは言いがたかった。千葉県道403号和田白浜館山自転車道線っていうちゃんと自転車用に作られた県道らしいんだけど、ここを走っている自転車は絶無だったよ。

昼飯は「海の駅だいぼ」というひなびた施設の食堂。こういうところで出てくる海鮮もちゃんと水準以上においしいのが館山クオリティだね。あ、このブログには食べ物の写真が全然出てこないけど、ぼくは飲食店で料理の写真をばちゃばちゃ撮るのははっきり言って下品なことだと思ってるんだ。ブログとしてはつまらないかもしれないけれど、これはポリシーだからね。

初心者の嫁Jが何かやらかすかと思っていたけど、結局トラブルらしいトラブルもないまま無事にもとの道の駅にたどり着いて、サイクリングは終わった。

こんなストレートが何キロも続く房総フラワーライン

こんなストレートが何キロも続く房総フラワーライン

よく「大丈夫! まだ大丈夫だから!」って笑顔で答えながらも実はギリギリまでつらいのをガマンしてて、周囲が異変に気づいたときにはすでに進退きわまってるみたいな人がいるけど、嫁Jの場合はそうじゃなくて助かった。くたびれたりしんどかったりしたらほどほどに不機嫌になったり無口になったりしてくれるから、早め早めに休憩の判断やペースの案配ができた。そのほうが、面倒を見る側としては助かるんだ。

さて、サイクリングのあと、「いこいの村たてやま」っていうホテルの浴場を使わせてもらったんだけど(日帰り入浴700円)、ここでビッグ・サプライズがあった。なんと、この宿泊施設の支配人がぼくたちの友達だったんだ。みんな彼がここで働いてるなんてまったく知らなくて、お互いびっくりさ。しばし談笑したよ。偶然って不思議だね

そして晩ご飯。お盆休みのおかげで、入れる店を探すのに少し苦労したよ。結局、館山駅前の「波奈(はな)」っていう大きなお寿司屋さんにした。お味はまあまあだったんだけど、最初に頼んだ握りもまだ出てきてないうちに「ラストオーダーになりますが」とか言ってくるのでちょっと「あれえ?」な感じだったよ。まあ、ぼくたちの入店が遅かったのがいけないんだけど。ラストオーダーは延ばしてもらえたし、延ばしたからにはぼくたちもちゃんと注文したから、おあいこだよね。

宿泊は「シーガル」っていうペンション。お盆だっていうのに前日に予約してもまだ部屋が空いていたのでクオリティがちょっと心配だったけど、ちゃんときれいなペンションだったよ。ただ、素泊まりだったのでお料理のことまではわからない。でも、次は料理つきで使ってもいいなと思える宿だったよ。

ご主人はきさくでいい人だった。カクテルに凝ってるらしくて、夜は一杯600円でカクテルを出してくれる。目の前でシェーカーを振ってくれるよ。ただ、「ブルドッグ」って言ってもキョトンとしていたので本職というわけではないのかな(ブルドッグはソルティドッグから塩を省いたもの)。

翌日は白浜野島崎でブランチをいただき、帰り道には東京湾フェリーを使ってみたよ。行きも帰りもアクアラインじゃつまんない。アクアラインの800円に比べると船賃の3,880円は高いけど、旅のいいアクセントになるし、すいてるし、短い時間だけれどやっぱり船旅はうきうきするね。この日は海上にたちこめた濃霧のせいでしばらく欠航してたらしいんだけど、ぼくたちが乗ろうとしたタイミングでちょうど運航が決まって、すんなり出航できた。これはツイてたな。

チビッ子たちもフェリーに大はしゃぎ

チビッ子たちもフェリーに大はしゃぎ

そうだ。今回のポタでぼくはひとつだけ、痛恨のミスをやらかしたんだよ。

何かっていうと、サイクルコンピュータを忘れた……。いざ忘れてみて、ふだんいかにサイクルコンピュータを有効活用しているかがよくわかったよ。

ぼくは、みんなでサイクリングするときは成り行きで引率者的な役割を担うことが多いのだけれど、そういう時はサイクルコンピュータの表示をメイン=速度、サブ=時計にしてる。こうしておくとペース配分や休憩スケジュールを管理するのがラクなんだ。あの人つらそうだから20km/hは超えないようにしよう、とか、あと15分走ったら休憩しよう、とかね。今回はそれができなくて困った。

そのほかに、いつも几帳面にエクセルにつけている走行記録の積算距離にズレが発生してしまって、あとで数値を調整するのがめんどくさいなあ、とか。最近はオドメータの数値を改竄できるサイコンも多いようだけど、ぼくのは古くて安物だから、それができないんだ(ゼロリセットすることしかできない)。ま、小さなことだけどね。

それと、当初の予定では安房グリーンラインっていう広域農道を走ることを検討していたんだけど、アップダウンが多そうだったので直前でここを走るのは中止したんだ。でも、帰り際に下見を兼ねてみんなでクルマで走ってみたら、ものすごく快適で楽しそうな道だったよ。森の中を広くてきれいな道がゆるやかなワインディングを描いていて、しかも交通量がものすごく少ない。次に来たときは絶対に走っておきたい道だね、安房グリーンライン。

posted by Gyochan at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自転車