音楽には「前ノリ・後(あと)ノリ」と言うものがありますが、自転車にも前乗りと後ろ乗りがあるようで。
土曜日にひさびさに尾根幹線を走ってきました。もう3ヶ月以上尾根幹を走っていなかったことが先日判明し、最近走り方がなんだかよくわからなくなってきていたこともあって、「原点に立ち返ろう」と尾根幹をきっちり走ってきました。尾根幹が私の原点である、と言い切る根拠はあいまいなのですが。
お昼近くに出発、やはり走り方がわからなくなっています。以前はどうやって走っていたっけ? ペダリングが無茶苦茶です。ぎくしゃくというか、ちぐはぐというか。
これだろうなという原因はなんとなく思い当ります。先日サドル高を3〜4mmほど上げたのです。「あと少し高くしたらどうなるかな」くらいのノリで。失敗だったということですが。
ペダルが下死点に近づくとスコンとトルクが抜けてしまうのがわかります。股関節が伸びきってしまうのが原因のようです。私の場合、股関節は伸びきる手前がオイシイみたいです(私以外の人がどうかは知りませんよ)。初心者ローディーの私にとってサドルは高ければ高いほどカッケーというものだったのですが、程度の問題のようです。
以上のことは走りながら気づいたのですが、その時は着座位置も少し後ろ寄りでした。坐骨2点をサドルの一番広い面にどっしり乗せるような位置(下図)。
サドルが高すぎるんだったら、ペダルがもうちょい近いところに座ればいい、と、着座位置を少し前にしてみました。坐骨でサドルをはさみこむような位置です(下図)。そうしたところ……
いきなり世界が変わりました。これだ。俺こっちで走ってたわそう言えば。いきなりペダリングがスムーズになり、パワーがあふれてきました。こっちのほうがいいじゃん全然! こっちのほうが好き!
これが前乗り・後ろ乗りというものなのでしょうか。違うのかもしれませんが、便宜的にこの項では前乗り・後ろ乗りという言葉を使います。
何度か前と後ろを取り変えて変化を確認してみましたが、ほんの2、3センチの着座位置の違いで使う筋肉がまるっきり違うようです。後ろ乗りのほうは腿裏(ハムストリング)、前乗りのほうは腿前(大腿四頭筋)がよく使われるみたい。さっき前乗りに変えたときに「パワーがあふれている」と感じたのは、それまで後ろ乗りでサボッていてフレッシュだった筋肉が使われだしたからでしょう。
私ゃ前乗りの疾走感が好きですね。パワーが出て、すごくスピードが乗ります。あまり調子に乗ってぐいぐい踏んでいるとだんだん腿前の筋肉がくたびれてきて持続しませんが。
ただ、後ろ乗りのほうもサドルの高ささえ合っていればわりと利用価値は高そうに感じます。のんびりかつ長距離とか、ゆっくりかつ峠道とか、そういう場面ではむしろこちらのほうがよさそう。
ひとりで30〜50kmくらいの短・中距離をぐいぐいスピードに乗って走るときは前乗り、友人たちとロングポタやヒルクライムをするときは後ろ乗り、みたいに使い分けることができるようになるとよいのかな、私の場合……。
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