山伏峠の頂上に到達し、純度100%の達成感をしばし楽しんだ私ですが、さてこの後どうしよう。
山伏峠までは到達しましたが、道志みちそのものはその先、山中湖まで続いています。しかし山中湖まではすべて下り。行けばまた登ってこなければなりません。もう登るのほんとやだ。だって帰り道も、後半のほうでけっこう登りあるんだよ。山中湖なんてタダの水たまりの大きい版じゃんさー。行かなくていいよね、峠到達ってことで、ここで引き返せばいいよね。引き返していいよね。
「そりゃ山中湖だわ」
友人Kからメールで冷静なツッコミが入りました。
そりゃそうだ。ここまで来て。
山伏トンネルをくぐり山中湖に向かってダウンヒルを始めると、富士山がお出迎えです。「富士!」と指差して叫んでしまいました。日本人はなぜ富士山を見ると妙にテンションがあがるんでしょうね。ことに、山梨県で見る富士山の山体の威容にはどこか心を揺さぶられるものがあります。
そして山中湖に到着。東京都に住む私は「山中湖=クルマで行くところ」というイメージでしたが、とうとう自転車で来れてしまった。山伏峠の登頂もうれしかったが、山中湖到着も別種の感慨。こりゃ記念写真撮らなきゃ。

富士山ばっちり。最高。
さて、山中湖一周はついこないだしたばかりだし面倒なので省略です。帰りましょう。
その前に昼飯。昼飯をどうしようか。土曜の正午、山中湖周辺の食事処はどこも観光客で満員でしょう。ゆっくり休める雰囲気ではないはず。悩みながら道志みちを戻っていると、「石割の湯」という日帰り温泉施設の看板に目に入りました。そうだ、日帰り温泉施設なら座敷がある。メシも出る。つまりメシ食って横になれる!
この作戦は正解で、「石割の湯」で石割そばとかいうオリジナルのそばを食ってしばらく横にならせてもらいました。風呂には入りません。どうせ帰りもダラダラに汗をかくにきまっているし、お湯につかることが復路の行程にとってプラスになるかマイナスになるか読めなかったからです。
山中湖から山伏峠への標高差100mはなんとか一息で登ることができましたが、脚はもうずたぼろでした。関節と筋肉が悲鳴をあげているのがわかります。腿の筋肉の痛み、これどこかで感じたことのある痛みだなあと思い返してみたら、数年前に丸沼高原スキー場でスノーボーダーに板から体当たりされて負った打撲傷と似た痛みでした。打撲なみに筋繊維が破壊されておるですか。
そして山伏峠からのダウンヒル。延々とダウンヒルです。
道志みちはところどころ舗装の荒れている場所があり、振動と衝撃がばしばしと手のひらを攻撃します。すぐに手のひらが痛くなってきました。ブラケットをできるだけ横から握ったりなどと工夫はしますが、ダウンヒル中はしっかりハンドルを握っていないと死ぬので、衝撃を完全にいなす方法はなさそう。こういう時カーボンハンドルってどうなんだろう、いや、カーボンフレーム……などと妄想していると集中力が切れて危ない。ヒルクライムは根性の勝負ですが、ダウンヒルは集中力の勝負。路面変化に神経を集中させて下ります。
私はスキーもクルマも自転車も右ターンが苦手。なんで共通してダメなんでしょうね。いろいろ自分なりの分析はありますがそれはいずれ別の記事で書きましょう。
道の駅まではあっという間。ここから先はちょこちょこ登りも出てくるので一応休憩しておきます。ここでもほかのローディーの方から「ライト点けっぱなしですよ」などと声をかけられたり。どうも多摩サイや尾根幹と違って、道志みちはほかのローディーとのコミュニケーションが盛んですな。山伏峠という共通の目標が連帯感を生んでいるに違いありません。
ちなみにライト点けっぱなしはわざとです。急にトンネルが出てきた時に止まって点灯しなおすのが面倒なだけです。休憩中も点けっぱなしなのは、出発時に点灯し忘れることがわかっているからです。

道志川とお姉さんとCAAD7
そしてまあ、案の定というか、もはやボロボロの肉体には帰りの登りもしんどかったですね。両国橋までの登りは下った勢いで登れてしまう小規模なものがほとんどなのですが、両国橋を渡った後の標高差100mほどの登りが登りきれなかった。あと一息というところで停車。停車したところにたまたま「青根草木館」という施設があり、「コーヒー」の幟(のぼり)がはためいていたのにつられてふらふらと寄ってしまいました。復路2度目の休憩。ここは雰囲気のよいお店ですね。
さらに最後に津久井湖の城山公園で最後の休憩をして、17時半に帰宅。
満身創痍、疲労困憊、まさにボロ雑巾のようでしたね。
内容はさんざんなライドでしたが、トラブル、事故がなかったのは何よりでした。
走行距離 132.67km
実走時間 6:20:08
平均速度 20.9km/h
最高速度 60.5km/h
獲得標高 1884m
うええ、こんなに登ったんか。
けどもういいです。もういやです。こんなつらい思いするの。
私はアホなのでどうせ、このつらさを忘れた頃に「もういっぺん行ってみるか……」などと考えてしまうに違いありませんが、将来に自分に対して書いておきます。二度と行くなよ!
残暑の道志みちライド その1〜道の駅まで
残暑の道志みちライド その2〜山伏峠
残暑の道志みちライド その3〜山中湖、復路